新型コロナウイルス感染症の感染拡大で全日本ロードレースの開催数が5戦となり、岡山大会が台風の影響で中止されたため全4戦で争われたJ-GP3クラス。前戦までの暫定ランキングトップは村瀬健琉の66ポイント。最終戦MFJグランプリは3ポイントが加算されるため優勝すれば28ポイント獲得できる。チャンピオン獲得の可能性があるのは小室旭:64ポイント(2ポイント差)、成田彬人:54ポイント(12ポイント差)、古里太陽:45ポイント(21ポイント差)高杉奈緒子:44ポイント(22ポイント差)、鈴木大空翔:43ポイント(23ポイント差)、徳留真紀:42ポイント(24ポイント差)の7名となっていたが、実質は村瀬と小室の一騎打ちとなっていた。
それぞれの思惑が交差する最終戦が13周先のチェッカーフラッグを目指してスタートする。ホールショットは小室が奪い、村瀬、成田、7番グリッドの鈴木、徳留の順に1コーナーに進入する。シケインで鈴木が村瀬、小室の2台をパスして一気にトップに浮上、村瀬も小室をパスして2番手、小室3番手でオープニングラップを通過。以下、成田、徳留、古里、高杉、彌榮郡、千田俊輝、藤田哲弥と続いて行くが、先頭グループが2周目の逆バンクを通過するところで赤旗が提示される。1周目のデグナーカーブ一つ目で山田尚輝と岡崎静夏が転倒した影響によるものだった。
約15分の中断後9周に減算されて仕切り直しの決勝レースがスタート。徳留が好スタートを切りホールショットを奪う。以下、小室、村瀬、成田、鈴木、高杉の順に2コーナーを立ち上がる。ダンロップコーナー進入で村瀬が小室のインに飛び込み2番手浮上。デグナー2つ目で鈴木が成田をパス、そして成田の後ろには古里が迫ってくる。古里はヘアピン進入で鈴木をパスし、4番手に浮上する。バックストレートで小室のスリップに入った古里はシケイン進入手前で小室をかわして行く。さらに鈴木も小室のインに飛び込み、古里、鈴木、小室の順に最終コーナーを駆け下りる。オープニングラップは徳留が制し、村瀬、古里、鈴木、小室、成田、千田、木内尚汰、彌榮、中島元気と続く。2周目に入るホームストレートでは、今度は小室が一気に古里、鈴木の2台をパスして3番手に復帰。2周目のS字コーナーで村瀬が徳留のインを刺してトップに浮上。ヘアピンで古里が徳留をパス、徳留は3番手にポジションダウン。バックストレートで村瀬のスリップストリームからイン側に抜けた徳留、スリップストリームを嫌いアウト側にラインを変えた古里。続く130Rでは徳留が一気にトップに浮上、続いて古里、村瀬は小室にもかわされ4番手にポジションダウン。3周目のホームストレートで古里が徳留をパスしてトップに浮上。
トップグループは、古里、徳留、村瀬、小室、成田、鈴木の6台がワンパックとなる。9周に減算されたことにより、後ろで様子を見ることはせず、すきあらばインを突く小排気量クラスらしいドッグファイトが展開される。4周目のトップは古里、5周目と6周目は鈴木、7周目は村瀬、8周目は小室と毎週トップが入れ替わる激しいバトルが続く。
そして迎えたファイナルラップ。小室、村瀬、古里、鈴木、徳留、成田のオーダーでコントロールラインを通過。1コーナーで古里が村瀬をかわして2番手に上がると、デグナーカーブ進入で古里が小室をかわしてトップ浮上。古里、小室、村瀬、徳留、鈴木の順にスプーンカーブを立ち上がる。バックストレートで小室、村瀬、徳留が古里をパスして130Rを通過、最後の勝負所であるシケインのブレーキングに入って行く。ここをトップで進入した小室は突っ込み過ぎてしまい失速。そこを村瀬が突いてトップ浮上。村瀬と交錯してラインを外した小室のインから徳留、さらにシケインをアウト側から進入してきた鈴木が前に出ていく。小室の後ろにいた古里は一気に順位を落としてしてしまう。最終戦に相応しい劇的なバトルを村瀬が制してシリーズチャンピオンを決めた。2位に徳留、3位に鈴木、4位小室、5位成田、6位古里、7位彌榮、8位高杉、9位中島、10位千田と続いた。 |