約2カ月半振りに全クラス開催となった全日本ロードレース選手権。活発化した秋雨前線の影響により土曜日に開催される予定だったJ-GP3クラスの予選は中止となり、日曜日の朝8:10から行われることになっていた。
日曜日は前日までの悪天候から一転し澄んだ青空が広がった。J-GP3クラスの予選はウエット路面でスタート。次第に乾いて行く路面状況に合わせてタイムアップをしていく。めまぐるしくタイムが入れ替わる予選を制したのは小室旭。2分05秒103でポールポジションを獲得。2番手に2分05秒474の中島元気、3番手は2分05秒527の古市右京、以下、4番手に山本泰裕、5番手に福嶋佑斗、6番手に高杉奈緒子、7番手に長谷川聖、8番手に藤井謙汰、9番手に中山愛理、10番手に鈴木大空翔のトップ10。暫定ランキングトップの岡谷雄太は予選21番手に沈んでいた。
15周の決勝レーススタート。ホールショットは古市が奪い、小室、中島、の順に第1コーナーを立ち上がる。オープニングラップは古市、小室、中島、山本、藤井、高杉、長谷川、中山、岡崎静夏、安村武志の上位10台。予選5番手の福嶋は第2ヘアピンで転倒しリタイアとなる。
古市、小室、中島、山本の4台がトップグループを形成して後続との差を広げ始め、セカンドグループは、長谷川、安村、高杉、藤井、宇井陽一、岡崎の6台が続いていた。
先頭グループの4台はつばぜり合いを繰り返す。3周目の第1コーナーで小室が古市をパスしてトップに立つ。すると13コーナーからの上りセクションで中島が古市をかわして2番手に浮上する。6周目の第1コーナーで中島がトップに立つと、翌7周目の同じ第1コーナーで小室がトップを奪い返す。そこへ4番手の山本がイン側からアウト側に寄せて中島をパス、一気に2番手に浮上する。しかし中島も黙っていない、第1ヘアピンで山本のインから2番手を奪い返すと、翌7周目の第1コーナーで再び小室からトップを奪い返す。ここで先頭グループに長谷川が追いついてきトップグループは5台にふくれ上がる。
さらに、もう1台猛追してくるマシンがあった。予選21番手の岡谷である。岡谷は3周目には早くも11番手までポジョションアップ。7周目にはファステストラップとなる1分59秒165をマークすると宇井、安村をかわして6番手まで浮上する。しかし序盤の追い上げでタイヤを消耗してしまい、ラップタイムを上げられず13周目に安村に抜き返されると7位でフィニッシュした。
レースも残すところ3周となると、トップグループの5台は激しいバトルを繰り返す。ホームストレートではスリップを利用してコース幅いっぱいに3ワイド、4ワイドに広がり小排気量マシンの軽快さを活かして一気に前に出る。13周目トップは中島、小室、山本、長谷川、古市。14周目、中島のスリップを使って小室がトップ、さらに山本、長谷川のスリップを使って古市が前に出るが1コーナー進入では長谷川が前、しかし2コーナー立ち上がりで加速が鈍ったのを見逃さなかった古市がパスして3番手浮上。小室、中島、古市、長谷川、山本のオーダー。
そして手に汗握るバトルはファイナルラップを迎える。スリップを嫌いイン側からアウト側にラインを振って1コーナーに進入、山本が長谷川をかわして4番手浮上。しかしその先の第1ヘアピンで長谷川が抜き返して小室、中島、古市、長谷川、山本の順で最後の第2ヘアピンに向かう。250Rの立ち上がりで車速を乗せた中島が小室のインからヘアピンに進入し、トップを奪う。ジェットコースターストレートから右60Rも中島が前。立体交差先のファイナルコーナースタンド前で小室が中島のラインひとつ内側からパス、トップを奪うがコーナー出口でほんの少しリアを滑らす。そのすきに中島は最終コーナーにトップで進入してチェッカー、うれしい初優勝を飾る。小室は悔しい2位。そしてその後方では長谷川がファイナルコーナースタンド前のコーナーで古市のインを突いてパス、初表彰台を獲得した。4位には古市、5位山本、6位安村、7位岡谷、8位藤井、9位岡崎、10位宇井の上位10台であった。中島の優勝で、シリーズランキンポイントは岡谷と並んでトップに立った。 |