前戦の岡山ラウンドでタイトル争いを繰り広げている鈴木大空翔が村瀬健琉の転倒に巻き込まれたため、今回の第7戦オートポリスで暫定ランキングトップに着ける長谷川聖が23ポイント差をつけて迎えた。鈴木の前でゴールすれば、ほぼタイトル決定という上棟だった。しかし、前週に行われた公開テストで長谷川は転倒を喫し、左手小指をはく離骨折、腱も痛めるケガを負ってしまう。レースウイークに入り走り始めると思った以上に、ライディングに影響があったため、今回のタイトル決定はないのではというのが大方の見方だった。
15周で争われた決勝。2列目5番手グリッドからスタートした鈴木がホールショットを奪い、ポールポジションの栗原佳祐、高杉奈緒子、細谷翼、岡崎静夏、長谷川、福嶋佑斗、中山愛理、藤井謙汰と続いて行く。6番手グリッドの村瀬健琉は、スタートで大きく出遅れ11番手で2周目に入って行く。長谷川は2周目の3コーナーで4番手に上がると、第2ヘアピンで番手に浮上。その勢いのまま3周目の第2ヘアピンで鈴木をかわしてトップに立つ。一方、栗原は、一時は7番手まで下がっていたものの、周回毎にポジションを上げ3周目に鈴木、長谷川の背後につけると4周目に鈴木をかわし2番手に上がり、5周目のホームストレートでトップに浮上する。続く6周目の1コーナーでは、福嶋がトップに立つなど目まぐるしくポジションを入れかえる。トップ争いは、福嶋、鈴木、長谷川、栗原、細谷、やや間隔を空けて高杉、岡崎、中山、村瀬と続いていた。ここから村瀬は、さらに追い上げ、トップグループに加わってくる。
タイトル争いを繰り広げる鈴木と長谷川がレースをリード。タイトルを決めたい長谷川、前でゴールしたい鈴木と思惑が交錯する。レースも終盤に入ろうかと言う10周目には、鈴木を先頭に村瀬が2番手に上がり、長谷川、細谷、福嶋、栗原、中山とトップグループは、7台に絞られてくる。続く11周目の1コーナーでは、栗原が一気に2番手に上がると、第2ヘアピンでトップに浮上する。鈴木も意地を見せ、その直後のジェットコースターストレートエンドの右高速コーナーで栗原を抜き返すが、上りセクションで栗原が前に出る。そして残り3周を切る12周目の1コーナーでは、村瀬が、このレースで初めてトップに浮上。3コーナーでは、長谷川がトップに、栗原も第2ヘアピンで村瀬をかわすと、上りセクションで再び栗原が前に出る。これに続きたい鈴木だったが、14周目の1コーナーでインに入ってきた福嶋と接触しそうになってしまいトップグループ最後尾の7番手にポジションを落としてしまう。
そして栗原、長谷川、村瀬、福嶋、細谷の順でファイナルラップに突入して行く。ホームストレートで横一線に並ぶと1コーナーでは長谷川がトップに浮上。福嶋、村瀬、栗原も並びながら3コーナーに向かって行く。3コーナーへは、長谷川、村瀬、福嶋、栗原の順だったが、第1ヘアピンで福嶋のインに栗原が入る。そして第2ヘアピンへのブレーキングで長谷川のインを突いた村瀬がトップに浮上。そのままトップの座を守りきった村瀬が、うれしい全日本J-GP3クラス初優勝を飾った。長谷川は2位に入り、最終戦を待たずにシリーズチャンピオンを決めた。栗原が3位、福嶋が4位、細谷が5位、中山が6位と続き、鈴木は悔しい7位となった。 |