開幕戦鈴鹿では津田拓也が、第2戦オートポリスで中須賀克行が優勝し、シリーズ第3戦ツインリンクもてぎを迎えた全日本ロードレース選手権。4年連続6度目のチャンピオンを狙う中須賀が、フルモデルチェンジされたヤマハYZF-R1をライディングし注目されているがニューモデルだけに産みの苦しみを味わっていた。そんな中、第2戦では早くもポールポジションを獲得し優勝を果たした。ただ、第2戦までを見る限り、決まっていないマシンをライダー自身の頑張りで速く走らせていた。 その後、先週行われた事前テストまでのインターバルで、マシンの問題点を洗い直し、サスペンションの仕様違いも持ち込んでいた。事前テスト初日の開始早々に2コーナーで転倒するものの、その後は、コースレコードを上回る1分48秒491という驚速タイムを非公式ながらマーク! 20周のロングランを行ったときの記録だっただけに、他を寄せ付けない速さを見せつけ始めていた。その速さはレースウイークに入っても変わらず、金曜日の1本目の走行でいきなり1分48秒656を記録。午後の走行は霧雨が降ってしまいタイムアップはならなかったが、1分48秒台に入れたライダーは事前テストから金曜日までは中須賀以外にはヨシムラの津田拓也のみだった。 公式予選が行われた土曜日は朝から快晴となり、5月の強烈な紫外線がコースに降り注ぎ路面温度は50度近くまで上昇。タイムを出すには、厳しいコンディションとなっていった。JSB1000クラスは、46台が出走。Q1はA組、B組と2グループに分かれて30分のセッションが行われ津田が、ただ一人1分48秒台に入れる1分48秒952をマークしてトップ。2番手に中須賀、3番手に渡辺一樹、4番手に高橋巧、5番手に柳川明、6番手に野左根航汰、7番手に山口辰也、8番手に浦本修充、9番手に加賀山就臣、10番手に秋吉耕佑と続き初開催となる"トップ10サバイバル"に進出した。 9周のアタックラップで、それぞれの周で一番遅かったライダーが脱落する"トップ10サバイバル"。10名が一斉にコースインし、1周、ウォーミングアップラップをこなすと真っ先に中須賀がアタックに入って行く。津田、野左根、山口と続くが、レースではないので、間隔を空けて走るのもあり、前のライダーを目標にして走るのもありだ。それぞれの思惑や戦略が交錯する中、中須賀は、ただ一人、1分48秒に入れながら最速ラップをマークし続ける速さでポールポジションを獲得した。 「とにかく全力で走るしかなかったですし、その中でコースレコードを出せるようにトライしました。残念ながらレコードは出せませんでしたが、最後まで走ることができたので決勝に向けていいシミュレーションになりました。決勝でレコードを出したいですね」と中須賀。今のところ死角はなさそうだ。 2番手に柳川、3番手に渡辺が続き、Team GREENの2台がフロントロウを確保。 「9周ならば2番手になれることが分かりましたが、決勝は23周もあるので、いろいろ考えながら走ろうと思っていますが、チャンピオン(中須賀)が絶好調なので一緒に走ってくれないかもしれませんが、チャンスがあれば行きますよ!」と柳川。一方、ここ2戦ではグリップ重視のライディングをしていた渡辺が、去年のようなスライド走行を見せていた。「レースウイークに入ってから、セッティングの方向性を変えて、走りの幅を持たせるようセットを進めています。その分、遅れている部分もありますがフィーリングはいいですし、決勝は23周と長いのでレース終盤に勝負できるようにしたいですね」とレースに向けて仕上がりは上々のようだ。 4番手に野左根がつけ、前回に続きトップ争いに絡みたいところだ。キット車ながらHonda勢最上位の5番手に山口辰也がつけ、6番手に津田拓也と続いた。3列目には高橋巧、浦本修充、加賀山就臣が並ぶ結果となった。 今回は、中須賀の速さが一発タイムでもアベレージでも群を抜いているだけに、トップを独走する可能性が高いだろう。その後方での2位争いが激しくなることは必至。23周という長丁場で争われる今回のレース。終盤に前に行く余力を残しているライダーが表彰台に上がることになりそうだ。