シリーズ後半戦のスタートとなるSUGOラウンド。JSB1000クラスは、100マイルレースというセミ耐久で行われる。スポーツランドSUGOを43周で争われ、ライダーは、1名でも2名でも可能であり、2名の場合でも、それぞれにフルポイントがつくことになる。また、ピットインは、最低1回が義務化され、15秒間はピットにとどまらなければならないという特別ルールが施行される。ガソリン補給、タイヤ交換は可能だが、電動・エアツールの使用は禁止されているため、15秒以上時間がかかるのは必至。この辺りは、チームとしてのポテンシャルも勝敗を左右する一つのファクターとなる。スタート方式は、耐久レースらしくライダーがマシンに駆け寄るル・マン式で行われる。 2名でエントリーしているのは、ヤマハYSPレーシングチームの中須賀克行と吉川和多留、Team KAGAYAMAの加賀山就臣と武田雄一、TEAM GREENの渡辺一樹と高橋英倫、F☆Sヒノマル食堂GTRIBEの新庄雅浩と戸田隆、RS-ガレージハラダ姫路の原田洋孝と長谷川直樹、ホンダドリーム高崎B'WISER・Tの清水郁己と桜井賢一、そしてTOHO Racing with MORIWAKIからは、山口辰也と地元期待の伊藤真一が名を連ねた。 JSB1000クラスは、今回のSUGOラウンドを含め、残り3戦4レースでシリーズタイトルが決まる。現在、ポイントランキングでは、高橋巧が78ポイントでトップ。2ポイント差で柳川明、6ポイント差で秋吉耕佑と続いているが、秋吉は、第4戦筑波の予選で転倒し負傷。今回の復帰を目標にリハビリを続けてきたが、残念ながら欠場を決めている。ディフェンディングチャンピオンの中須賀は、前戦で悔しいマシントラブルでのノーポイントが響き、トップから17ポイント差の暫定ランク6番手となっているだけに、連覇を狙うためにも1戦も落とせない戦いとなる。中須賀自身も「残りは全て勝つつもりで臨みます」と気合いを入れている。 公式予選は、1時間の計時予選で行われ、2名ライダーがいるチームは、1台のマシンを交互にライディングした。セッション序盤は、加賀山が1分28秒378をマークしトップに立っていたが、セッション終盤にタイムを上げた津田が、ただ一人1分27秒台に入れる1分27秒974をマークしJSB1000クラスでは、初めてとなるポールポジションを獲得した。「鈴鹿以外は、JSB1000で走るのは初めてのサーキットなのですが、その中でもSUGOは、前から苦手なんです。そんなボクをチームが強力にバックアップしてくれました。事前テストを一日増やしてくれたり、レースウイークに入っても、監督がコースで走りをチェックしてくれたり…。チームの総合力で獲ったポールポジションだと思います」と津田。 テストから調子がよかったという中須賀は、「できればポールを獲りたかったけれど、今日は津田選手が速かったということ。決勝で借りを返せるようにしたいですね」と気持ちを切り換えていた。3番手の高橋は、「テストまでは、一発もアベレージタイムも悪かったので、予選で28秒2まで出てよかったですね。SUGOでは勝ったことがないですし、今年、勝てていないので、長丁場をしっかり走り切って最終的に勝てるようにしたいですね」と静かな闘志を燃やす。 SUGOを43周というのは体力的に相当厳しいレースとなる。実際、昨年のスプリントレースは、24周で争われたが、厳しい暑さの中をハイペースで走るためレース後は、トレーニングしているトップライダーでさえ疲労困憊となっていた。その倍近い周回数で争われるだけに1人で走るライダーは、ペース配分を考えながら走らなければならないだろう。逆に2人で走るライダーは、レース序盤から全開で走ることができるが、2人のラップタイムに差があるチームは、状況によって作戦を見直さなくてはいけなくなる。急きょ1人で走る可能性もあると言うことだ。ピットインのタイミングを始め、タイヤ交換、そしてチームの総合力を含む戦略が勝利を引き寄せることになる。全日本格式ではSUGO初となる100マイルレース。長丁場の戦いを制するのは、果たして!?