ディフェンディングチャンピオンの中須賀克行の速さが際立つ公式予選となった。前週には、世界最高峰のMotoGPクラスにスポット参戦し、並み居る強豪を相手に互角の走りを見せた。そのいい緊張感を、そのまま今回の岡山国際ラウンドに持ち込み、集中して走れていることがタイムにつながったと言う。今シーズンの中須賀は、開幕戦こそ、フルモデルチェンジして登場したYZF-R1のテスト不足が響き、2位に甘んじたが、第2戦から今回まで5戦連続でポールポジションを獲得。4連勝を飾っており、今回も中須賀について行けるライダーがいるのか? というほどの強さだ。金曜日の走行で1分28秒291をマーク。早くも自身の持つコースレコードを上回っており、土曜日の公式予選で、どんなタイムを出すのか注目されたが、予想を超える速さを見せた。Q1では1分28秒410でトップにつけると、10台が進出するQ2では、何と1分27秒182という、とてつもないタイムをたたき出す。これまでのコースレコードを1秒以上更新し、区間ベストを足すと1分27秒フラットと、1分26秒台も見える驚速振りだ。 「1分27秒台に入ればいいと思っていたので、自分自身でもビックリしました。鈴鹿8耐を挟み、ニューR1が仕上がってきていることと、チームスタッフの頑張りも大きいですね。決勝は、まずスタートを決めてライバルの出方を見たいですね。ここ4年間は、いずれも、そのパターンで勝つことができていますから」と中須賀。 MotoGPからJSB1000に乗り換えると、絶対的なスピードが違うため、どんな操作もスローモーションになり余裕ができると言う。常人には理解しがたい世界だが、世界最高峰を知るライダーが感じる世界があるのだろう。 2番手には、ヨシムラの津田拓也が1分28秒643で続いた。「マシンの状態はまずまずです。中須賀選手や高橋選手に対して、足りていない部分は分かっているので、その部分を解消して決勝に臨みたいですね」と津田。前戦で2位に入り、ようやく歯車が噛み合い始めているだけに、中須賀について行きたいところだ。 3番手の高橋巧もMotoGP日本グランプリからの連戦。金曜日から調子よく乗れていたが、予選開始早々にヘアピンで他車と絡み転倒。ピットに戻りマシンを乗り換えてコースに戻りQ1で1分28秒987を記録し2番手。Q2では、1分28秒833までタイムを削っている。 「アベレージは悪くないですね。レース序盤は1分28秒台で走ることができると思いますので、中須賀選手を逃がさず勝負できる位置にいたいですね」と高橋。事前テストでは、ロングランを行い、昨年の中須賀の優勝タイムは上回っていると言う。 4番手には、今季一番の仕上がりと言っていい柳川明がつけた。「今の自分に27秒台は考えられない数字だけれど、2番手以下は接戦になっているので、24周とレースは長いので、最後までしっかり戦えるようにしたいですね。残り2戦3レースを全力で走りますよ」とコメント。チームメイトの渡辺一樹は、事前テストで転倒し足を痛めてしまっており、今回は厳しいレースになりそうだ。 第3戦ツインリンクもてぎの事前テストで転倒し、足を骨折していた中冨伸一が、ようやく本調子に戻り5番手。野左根航汰が2列目最後の6番手にすべり込んだ。「中須賀選手の速さを見ると同じR1乗りとして凹みますが、調子は悪くないので、また表彰台に上がれるように頑張ります」と野左根。3列目には、加賀山就臣、山口辰也、渡辺が並ぶ。 中須賀が驚異的な速さを見せており、津田と高橋が、どこまでついていけるかがカギとなるだろう。24周という長丁場となるだけに、タイヤマネジメントも重要だ。中須賀がシーズン5勝目を挙げ、4連覇に王手をかけるか!? それとも違う結末が待っているのか!? シーズン終盤の大一番となる岡山国際ラウンドに注目しよう!