シリーズ第5戦を迎えた全日本ロードレース選手権は、今季2度目の2&4レースとなり、J-GP2クラスのみが開催されている。4メーカーがそろい、Moto2フレーム、オリジナルフレーム、市販改と様々なマシンが参戦しているが、5年目を迎えハイレベルな戦いとなっている。その中でも、世界帰りの高橋裕紀が全日本に10年振りに戻って来たことが全体のレベルを引き上げている要因となっている。 緒戦となったオートポリス、そして5月のツインリンクもてぎでのレースは、ポールポジションから優勝を果たした高橋裕紀だったが、決して楽に勝てたわけではなかった。雨のレースとなった6月のSUGOラウンドでは、井筒仁康が巧者振りを発揮しJ-GP2初優勝を飾り、高橋裕紀は4位と表彰台を逃していた。再び世界へ戻ることを目標にしている高橋裕紀にとっては、予選も決勝もトップを目指すことは当然のこと。その内容にもこだわっているが、周りのレベルも高く、それに打ち勝つプレッシャーは並大抵のものではない。今回、高橋の属するモリワキはニューシャーシを投入したが、ドライコンディションで思うようにテストできておらず、レースウイークに入ってから初めて走らせた状態だった。土曜日の公式予選を前に、今まで考えられないほどのビッグチェンジをして臨み、セッション終盤にポールポジションタイムを記録した。「予選と同じペースでずっと走ることはできないですが、いつも通り、スタートからペースを上げて、できれば逃げるのが理想ですが、みんな速いので逃げられなかったら、そのときに展開を考えます」と高橋裕紀。ニューシャーシも一長一短で、まだまだまとめきれていないと語る。ただ、序盤のダッシュは定評があるだけに、今回もレースを引っ張って行きそうだ。 予選2番手には地元期待の渡辺一馬がつけた。「第3戦のときとは大きくセッティングを変えて臨みました。ようやくマシンの走らせ方やいい部分が出て来たので主導権を握って勝てるように頑張ります」と自信のコメント。今季最高の仕上がりとなっているようだ。 3番手の井筒も前戦で投入したフロントサスペンションが、いいフィーリングだと言う。「5月に比べれば厳しいコンディションですが自己ベストを更新できています。前回のもてぎラウンドはタナボタで表彰台に上がったので、今回はドライでいい結果を出したいですね」と、こちらも自信をのぞかせる。 ブリヂストン勢最上位となる4番手には、浦本修充がつけた。「調子は上々ですね。マシンセットをもう少し詰める予定なので、もっとアベレージを上げたいところです。序盤に離されないようにすれば終盤に勝負する自信はあります。今回は、ぜひ勝ちたいですね」とコメント。 ダンロップ勢がフロントロウを独占したが、予選用のソフトタイヤを使っていたようだ。決勝用タイヤでどのぐらいのペースで走ることができ、そのライフはどうなのか? ロングランをできているライダーは、ほとんどいないだけにレース終盤は、未知の世界と言えるだろう。調子を上げてきている小山知良、関口太郎、高橋英倫、帳尻を合わせたい生形秀之など、序盤の高橋のペースに、どれだけのライダーがついていけるかがポイントになりそうだ。