シリーズ第2戦を迎えた全日本ロードレース選手権。第1戦は、JSB1000クラスのみだったため、今回が他の3クラスにとって開幕戦となる。そのため木曜日から特別スポーツ走行が設けられ、通常とは一日長いレースウイークとなっている。JSB1000クラスで木曜日、金曜日とトップタイムをマークしたのは、高橋巧だったが、ポールポジションを獲得したのは、渡辺一樹だった。 土曜日にノックアウト方式で行われた公式予選。まず全車で争われたQ1で、渡辺、高橋の2人が1分48秒台をマーク。中須賀克行、津田拓也、山口辰也、柳川明、加賀山就臣と順当に続くが、8番手には、最後のアタックで1分50秒385をマークした酒井大作がすべり込み、中冨伸一が11番手にノックアウトされる。ヨシムラの津田は、セッション開始早々に3コーナーで転倒を喫してしまい、このレースウイークに乗っていないスペアバイクでTOP10チャレンジに臨まざるを得なかった。しかしトップ10チャレンジ開始早々にコースレコードを更新する1分48秒605をマークしリーダーボードのトップに立つ。柳川明も1分48秒台に入れ2番手につけていたが、高橋が1分48秒327をマークしてトップを奪う。その直後に渡辺が、前人未踏の1分47秒台に突入! 1分47秒657という驚異的なタイムをマークし、ポールポジションを獲得した。「ラップモニターを見て、最初は"48秒6かな?"と思っていましたが、よく見たら47秒台だったのでビックリしました。これもいいバイクに仕上げてくれたチームのおかげです。決勝でいい成績を残せるように、しっかり走るだけです」と渡辺。 高橋は、2番手となるがアベレージでは、一番いい仕上がりを見せており、決勝での巻き返しを狙っている。「アベレージは悪くないですし今回は勝ちたいです。課題となっている序盤を、うまく走るためにもスタートを決めてレースメイクしたいですね」とコメント。 3番手にスペアバイクでのアタックとなった津田が入りフロントロウの一角を占めた。津田は、Q1の転倒で骨折はなかったものの全身を打っており、決勝日の体調が気になるところだ。「3コーナーの転倒は自分のミスだったので、チームに申し訳ないことをしてしまいました。スペアバイクでもタイムが出ましたし、しっかり機能したということだと思います。レースでは、前戦での反省を生かして優勝を狙っていきたいですね」と津田。 4番手には、Honda CBR1000RRのキット車を駆る山口辰也が1分48秒632をたたき出し、従来のコースレコードを上回った。「オートポリスは、好きなコースですし、うまく走れば1分48秒台には入ると思っていました。決勝は、そんなに甘くはないと思いますが、チャンスがあれば行きたいですね」と山口。渡辺の1分47秒台もすごいが、山口のタイムも驚異的だと言えるだろう。 2月にケガをしている柳川も、まだ本調子ではない。開幕戦ではチェッカーフラッグを受けた後、2コーナーでマシンを止め嘔吐していたと言う。「自分の体調が原因で、まだいくつかのコーナーをうまく走ることができないでいます。レースはペース配分を考えないといけないかもしれませんね」と柳川。今回も19周と長丁場となるだけに厳しいレースとなりそうだ。 そしてゼッケン1をつける中須賀も満身創痍だ。先週の事前テストで転倒し肩を痛めていたが、金曜日にも3コーナーで転倒。転倒自体は、大したことではなかったが、マシンと路面に右足を挟まれてしまいヒザから下が大きく腫れ上がってしまっている。そんな状態にも関わらず予選6番手に着けているのだ。「バイクが振られたときに、抑え込むことができないですから厳しいですね。せっかく開幕戦で優勝していいスタートを切れたのですが、まぁ仕方ないです。これでも49秒台で走ることができているので、レース展開次第では勝負したいですね」と中須賀。 7番手の加賀山就臣も調子を上げてきているが、足回り、そしてタイヤとのマッチングに課題を抱えているようだ。そして酒井は、トップ10チャレンジでさらにタイムを上げ8番手グリッドを獲得。ほぼスタンダードのBMW HP4でコース幅を目一杯使い、コーナリングスピードを上げながら走る様は必見だ。 レースは、フロントロウの渡辺、高橋、津田に、山口、柳川、中須賀、加賀山がどこまでついて行けるかによってトップ争いの展開が左右されそうだ。あとは天候が気になるところだ。表彰台の中央に上がるのは、誰だ!?