全日本ロードレース選手権は今回の鈴鹿2&4レースが第2戦。今年も4輪のスーパーフォーミュラ、全日本フォーミュラ3との併催となり、JSB1000クラスのみの開催となる。
2週間前に行われた開幕戦ツインリンクもてぎではYAMAHA FACTORY RACING TEAMの中須賀克行とTeam HRCの高橋巧が2レースとも一騎打ちのトップ争いを繰り広げ、両レースとも中須賀が制した。鈴鹿に舞台を移しても両者の戦いは続くと見られていたが、イニシアチブを握ったのは高橋巧だった。ヤマハ以外の主要チームはプライベートテストを鈴鹿で行っており、高橋巧は2分04秒台で周回していると好調振りが伝えられていた。テストを行っていない中須賀だったが、「4輪が走ってタイヤラバーが乗った状態でコンディションが変わるので、その状態にいかに合わせることができるかがポイント」と語っていた。
レースウイークに入り、金曜日の1本目で高橋巧は2分04秒391と速さを見せつけたが、4輪が走った直後に行われた2本目ではタイムを更新できず、その影響が大きいと高橋巧は感じていたが、それは目標としていた2分03秒台に入れるためだった。公式予選でAグループの様子を見ていた高橋巧は「意外にコンディションがいいかもしれない。タイムを出すなら最初のアタックしかない」と思ったと語る。真っ先にコースインすると計測1周目で2分04秒412を記録し、2周目には2分03秒874、3周目には2分03秒963をマーク。ただ一人2分03秒に入れてダブルポールポジションを獲得。中須賀は何とか2分04秒台に入れた状態だっただけに決勝は高橋巧が逃げることが予想された。予選から決勝にかけて4輪が走ってどうコンディションが変わるか? 中須賀にとってはそこに勝機が残されていたのかもしれなかったのだが…。
昨年より4周少ない14周で争われたレース1。ポールポジションから高橋巧が好スタートを見せ、渡辺一馬が2番手で1コーナーに入って行くが、2コーナーで中須賀が2番手に上がり、高橋巧の背後につける。中須賀にとっては前に出られるときに前に出てペースを抑えたいところ。逆に逃げたい高橋巧だったが、決勝のコンディションを確認してからペースを上げようとしていた。そのすきを突いた中須賀が130Rで前に出るとオープニングラップをトップで戻って来る。しかし2周目のS字コーナー進入で高橋巧が中須賀をパスしトップに立つとペースアップ。これになんとかついて行こうとした中須賀だったが、3周目のデグナーカーブ2個目の進入でフロントからスリップダウンしてリタイア。痛恨のノーポイントを喫してしまう。これでトップ独走となった高橋が2位に16秒以上の大差をつけて今シーズン1勝目を挙げた。2位争いはスズキの渡辺一樹、ヤマハの野左根航汰、カワサキの渡辺一馬の三つ巴のバトルとなる。それぞれのマシンの得意なところで何度も順位を入れかえながら最終ラップのシケインには渡辺一馬、野左根、渡辺一樹の順で入って行く。レイトブレーキ合戦となったが、渡辺一馬と野左根がほぼ同じタイミングでフロントが切れ込んで転倒。渡辺一樹が2位でゴールし、素早く再スタートを切った野左根が3位に入った。4位に秋吉耕佑が入り、5位に再スタートした渡辺一馬が入っている。レースウイークの流れを見るとレース2も高橋巧が圧勝する可能性が高いと言えるだろう。中須賀は、同じ轍は踏まないはずだが、どこで線引きできるかがポイントとなる。復帰2年目、強いTeam HRCが、いよいよ戻って来た。 |