シリーズ第8戦を、ここ岡山国際サーキットで迎えた全日本ロードレース選手権。6月の第5戦オートポリス以来の4クラス開催となり、JSB1000クラス以外は、久しぶりのレースウイークとなっている。シーズン終盤を迎え、それぞれのクラスでシリーズチャンピオンの行方も気になるところだ。4クラスの中で、今回チャンピオンが決まる可能性があるのがJ-GP2クラスだ。公式予選では、暫定ランキングトップを走る水野涼がコースレコードを更新しポールポジションを獲得。暫定ランキング2番手の関口太郎に29ポイント差をつけており、今回は、タイトル獲得に王手をかけている。最終戦MFJグランプリは、3ポイントのボーナスポイントがあるため、今回のレースを終えた時点で28ポイント差をつけていればタイトル決定。勝てば文句なし、2位、3位でも関口と生形秀之の結果次第でチャンピオンとなるが、勝って決めたいところだろう。 JSB1000クラスは、第7戦オートポリスを終えた時点でヨシムラの津田拓也が137ポイントで暫定ランキングトップに立ち、ハルク・プロの高橋巧が134ポイント、カワサキの渡辺一馬が128ポイントで続いており、SUZUKI、Honda、Kawasakiのエースライダーがタイトル争いを繰り広げている。しかし、この3人の中で今シーズン優勝しているのは高橋巧のみ。津田と渡辺は、まだ未勝利という状況だ。ここまで6戦を終え、高橋巧以外で優勝しているのは、中須賀克行と野左根航汰というYAMAHA FACTORY RACING TEAMの2人が、それぞれ2勝を挙げている状況だ。昨年、5年連続7度目の王者に輝き、今シーズンも連覇が濃厚と見られていた中須賀だったが、開幕2戦で転倒しノーポイント。3戦目は、最終ラップまでトップを走りながら、バックマーカーと接触し転倒。4戦目のオートポリスでようやく今季初優勝を飾るものの、5戦目で再びトップを走りながら転倒となり、タイトル防衛は絶望的となってしまう。野左根も緒戦で転倒、6月のオートポリスは、世界耐久参戦のために欠場となったため、2度のノーポイントが響き暫定ランキングは、6番手となっている、しかし、速さでは、YAMAHA FACTORY RACING TEAMの2人が抜きん出ている状況だ。特に今回は、中須賀の仕上がりが郡を抜いている。事前テストから今シーズンの課題となっている17インチタイヤとのマッチングを改善するために試行錯誤を繰り返し、タイヤからのインフォメーションを感じやすくなり、今シーズン一番の仕上がりになっていると言う。実際、予選では、ただ一人1分27秒台をマーク。アベレージタイムも速いだけに今回は、中須賀のワンサイドとなる可能性が高いだろう。一方、野左根は、ボルドール24時間耐久に参戦し、決勝で転倒。頭を打ち、身体も痛めてしまい事前テストに参加できず、金曜日に初めて岡山国際サーキットを今年のR1で走った。予選は、3番手とフロントロウにつけるがテスト不足は否めない感じだ。「今ひとつ乗り切れていないですね。他の人より少ない時間の中での岡山ラウンドですから、1分1秒でも有効に使わないといけない立場ですからね。中須賀選手について行けるだけ、ついて行ってヤマハ1-2を今回こそ実現したいです」と野左根。 この野左根の前に予選で入ってきたのが高橋裕紀だった。ピレリタイヤを履くモリワキは、予選専用とも言えるタイヤを投入。これが見事に機能し、高橋裕紀が2番手、清成龍一が5番手と、それぞれ今シーズン最高位グリッドを獲得した。タイトル争いを繰り広げている3人では、津田が最上位の4番手。渡辺が6番手、高橋巧が7番手という予選結果。「まだまだ、うまくニューGSX-R1000を仕上げられていない部分がありますが、とにかく前に食らいついて行きたいですね。ライディング部分で補えるところは補って勝負して行きます」と津田。渡辺は、「事前テストで、ZX-10RRで初めて岡山を走りましたが、ステップ・バイ・ステップで来ています。チームが本当にマシンをいい状態にしてくれているので感謝です。その想いに結果で応えられるように頑張るだけです」とコメント。そして高橋巧は「マシンをうまくまとめきれていないですね。決勝日朝のウォームアップ走行も使って最後まであがきますよ。その中で自分のやる仕事をキッチリこなしたいですね」と語った。 レースは、異次元の速さを見せている中須賀がリードしそうだ。これに野左根とタイトルを争う3人とモリワキの2人が、どこまでついて行けるか? そして調子を上げてきている加賀山就臣が3列目からロケットスタートを見せるか!? チームのホームレースとなる山口辰也も追い上げたいところ。24周で争われる決勝は、どんな結末が待っているのだろうか!?