ついに最終戦決戦を迎えた全日本ロードレース選手権。今年も戦いの終着の舞台となるのは、三重県・鈴鹿サーキット。事前テストがなかったこともあり、昨年に引き続き木曜日から特別スポーツ走行が設けられ、一日早いレースウイークの始まりとなった。 タイトル争いは、高橋巧が118ポイントでトップにつけ、2ポイント差で柳川明が、7ポイント差で中須賀克行が、11ポイント差で津田拓也が続いており、この中からチャンピオンが誕生することになる。 この4人のうちノーポイントを喫しているのは、中須賀のみ。今の全日本ロードレース選手権のポイントシステムでは、ノーポイントレースは、あまりにも大きな痛手となる。そのダメージを中須賀は、筑波ラウンドでマシントラブルが原因で受けている。そのダメージを挽回するためにSUGO、岡山と連勝し、再びタイトル争いに加わってきた。ディフェンディングチャンピオンとしての意地、そして勢いは、今のJSB1000クラスで一番あると言っても過言ではない。ノックアウト方式で行われた公式予選では、Q1、Q2共にトップタイムをマーク。レース1、レース2のダブルポールポジションを獲得した。Q2では、2分06秒226をたたき出した。「Q2でベストラップをマークした周は、スプーンカーブでインにうまくつけなかったのですが、その後で挽回できたと思ったのでレコードが出ればいいなと思いましたが、予想以上にいいタイムを出すことができました。"韋駄天"と言われている秋吉選手のレコードを上回ることができて、うれしいですね。決勝は、とにかく2つとも勝つことがボクの仕事です」とキッパリ。前週にワイルドカード参戦したMotoGPからの乗り換えに初日、2日目と苦労したが、予選で変更したセットがピタリとはまり見事にコースレコードを更新した。 ポイントリーダーの高橋は、レース1のグリッドが決まるQ1では、2分07秒113で4番手となったが、Q2で2分06秒661をマークして2番手タイムをたたき出した。「もう少しタイムを出したかったのですが、アベレージタイムは悪くないので、しっかり勝負したいです。鈴鹿は、1周が長いので、もし出遅れても挽回できると思いますし、とにかく勝ちたいです」と勝ってチャンピオンを決めたいと語る。 Q1で2番手、Q2で3番手と両レースでフロントロウを獲得したのが津田だ。鈴鹿8耐では、名門ヨシムラのエースとして活躍するほどライダーとして成長を見せている。「8耐のときとはコンディションが違うのでデータは、使えないですが、チームのおかげで6秒台にも入りましたし、いいフィーリングです。序盤は、6秒台に入ると思いますし、15周のレースでは様子を見るほどノンビリしていられないので、最初からペースを上げていきたいです」と虎視眈々と勝利を狙っている。 復帰戦にもかかわらず初日にトップタイムをマークした秋吉耕佑は、Q1で3番手、Q2で4番手と、今ひとつ本調子ではないようだ。 「筑波、岡山と転倒してケガをしているのですが、今回もマシンのパワーバランスがうまく合っていない状態ですね。難しいレースになりそうです」と秋吉。今回は、表彰台に上がれればと語るが、鈴鹿では高い勝率を誇っているだけに、宇宙人らしい速さを見せる可能性もあるだろう。 そして2ポイント差で逆転タイトルを狙う柳川は、Q1が5番手、Q2で6番手とセカンドロウからスタートする。「着実に進歩している状態ですし、2分7秒台では回れるようになっていますが、トップ争いは、2分6秒台に入るはず。とにかく15周を2回、キッチリ走り切ります」とコメント。チームメイトの渡辺一樹も好調なだけに、決勝でカワサキ旋風を巻き起こしたいところだろう。 レースは、ゼッケン1をつける中須賀を中心に、高橋、津田、秋吉がどう絡むかが注目される。トップ争いのペース次第では、柳川も加わることができるはず。爆発的なトップスピードを見せるカワサキパワーでライバルを圧倒するか!? そしてタイトル争いの行方は!? 運命の最終決戦は、間もなくスタートする。