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'15全日本モトクロス選手権第8戦 近畿大会
↑'15スケジュール
全日本モトクロス選手権の今季第8戦近畿大会は、奈良県北部にある名阪スポーツランドで開催された。複数のカートコースもある名阪のモトクロスコースは、上下2段のエリアで構成された、サンド路面のハイスピードコース。基本的なレイアウトはこれまでのものを継承しているが、前年大会からはリズムセクションなどに変更を受けている。
予選が行われた土曜日は晴れ。レースウィークに降雨があったことから、路面は水分を多めに含んでいたが、徐々に乾いていった。決勝が開催された日曜日は朝から曇り空で、練習走行は雨模様。しかし次第に天候が回復し、お昼前から午後にかけて晴天となった。大坂や名古屋の大都市圏に近いコースでの大会とあって、2日間で5,960名のモトクロスファンが来場した。
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転倒で後退した小島庸平を逆転して
ヒート1で優勝した成田亮
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今季3度目の両ヒート制覇に
表彰台で笑顔をみせた成田
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決勝の出走台数は18台。そのヒート1では、熱田孝高(#4)と同ポイントでトップの小方誠(#2)と13ポイント差のランキング2番手で今大会に臨んだ小島庸平(#44)が、ホールショットを奪った。これに熱田が続いて、まずはスズキファクトリーチーム勢がワン・ツーとなり、さらに新井宏彰(#331)と三原拓也(#822)のカワサキファクトリー勢が続いた。そのすぐ後方にホンダの小方がつけて、1周目をクリア。2周目に入るジャンプで、小方は4番手を走る三原のパッシングを試みた。ところがこの飛び出しで小方のマシンが大きく振られ、着地で激しく転倒。カラダにダメージを負った小方は、とりあえず完走をめざして走ったが、最終的にリタイアとなった。この2周目、3番手を走っていた新井も転倒し、再スタートに時間がかかって最後尾へ。荒れたオープニングとなった。この周、ヤマハに乗るプライベーターの田中教世(#16)が三原をパスし、これで上位勢は小島、熱田、田中、三原、星野優位(#7)の順となった。
3周目、田中は2番手の熱田に肉迫。その後方では、三原を先頭に9台が縦長のグループを形成した。この中で順位を上げたのは、1周目11番手と出遅れたホンダの成田亮(#1)。4周目には2台をパスして集団の先頭に立った。5周目、田中が2番手に浮上。成田は後続を引き離して3番手の熱田に迫り、これで小島、田中、熱田、成田がトップグループを形成することになった。この中で成田が、6周目に熱田、レースが中盤に入った7周目には田中をパス。熱田はその後、集団から遅れたが、田中は僅差で成田をマーク。成田は数周をかけて、小島と4秒ほどの差を削っていった。そして13周目、完全にテール・トゥ・ノーズの状態に。ここで小島が転倒し、成田がトップに浮上した。レース終盤、成田は後続を振り切り、結果的には独走で優勝。田中が2位、熱田が3位となった。4位には、着実な走りで1周目9番手から追い上げたヤマハファクトリーの安原志(#500)。星野が5位、三原が6位となった。
決勝ヒート2で、好スタートを決めたのは新井。これに成田が続いたが、最初のヘアピンカーブで新井と接触してバランスを崩し、この間にKTMを駆る星野裕(#15)らが先行した。それでも、成田はすぐに順位を回復。1周目はは新井、成田、星野裕、三原、星野優位の順で、スズキ勢は出遅れて小島が8番手、熱田が10番手からの追い上げレースとなった。2周目、成田は再び新井に接近。このふたりから4秒ほど遅れて星野裕と三原拓也と星野優位が3番手争い、2秒ほど間隔を開けて安原と小島が6番手争いを繰り広げ、熱田は8番手に順位を上げた。翌周、成田は新井の攻略に成功してトップ浮上。三原はミスにより11番手まで順位を下げ、3番手を守る星野裕から後方は、8台が縦長のグループとなっていった。4周目、星野裕が5番手に後退。星野優位が3番手、小島が4番手に順位を上げた。この間に、接近戦を続ける成田と新井は、後方集団からのリードを10秒以上に拡大した。
5周目、小島が星野優位を抜いて3番手。6周目には、10番手前後を走行していた田中が、マシントラブルによりリタイアした。レースが中盤に入ると、成田はじわじわとリードを拡大して独走状態に。新井は順位をキープし、小島も後続を引き離したことから、トップ3はそれぞれ単独走行となっていった。一方で4番手以下は、レースが後半に入っても5台による接近戦が続いた。この中で順位を上げたのは、熱田と三原。熱田は、10周目に星野裕を抜いて5番手にポジションアップすると、すぐ前を走る星野優位に迫り、13周目にパッシングした。12周目に8番手まで順位を回復していた三原は、その後の3周で1周1台ペースの追い上げを続け、15周目には5番手に浮上した。レース終盤、上位の3台は単独走行を継続。レースは19周でチェッカーとなり、成田が両ヒート制覇を達成。新井が2位、小島が3位、熱田が4位、三原が5位となった。これでポイントランキングでは、熱田がトップに浮上。5ポイント差で小島が追い、小方は小島から20ポイント差の3番手に後退した。
今季3度目となる両ヒート制覇を達成した成田は、「予告どおり両ヒート優勝を決められました。ヒート2は、それほど疲れも感じることなく走れたのですが、どちらのレースでも転倒者が多くいたことから自分も安全に走り、圧倒的という感じにはできませんでした。次戦も両ヒート優勝を決め、最終戦では外国人ライダーがたくさん参戦するので、彼らといいレースをしたいです」と、表彰台の上で冷静に抱負を語った。 |
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ライバルの転倒にも助けられ
ヒート1で勝利を収めた富田俊樹
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今季4度目の1-1を達成して
チャンピオンに王手をかけた富田
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ランキング2番手で今大会に臨んだ能塚智寛(#32)が、土曜日の練習走行で負傷。予選はスターティンググリッドに並んでリタイアし、シード権を使って決勝に進出した。決勝ヒート1、ホールショットを奪ったのは竹中純矢(#31)。これに馬場大貴(#42)、IAルーキーの古賀太基(#01)、ポイントリーダーの富田俊樹(#317)、道脇右京(#50)、地元大会に燃える田中雅己(#113)が続いた。2周目、富田が2台をパスして2番手に浮上。4周目には、トップの竹中と2番手の富田、3番手の馬場と4番手の古賀が、それぞれ接近戦を演じた。富田は竹中を攻略できずにいたが、3番手争いでは5周目に古賀が馬場をパス。道脇がこのバトルに加わり、6番手にはこちらも地元大会となる岡野聖(#34)が浮上してきた。
レースが中盤に入った7周目、竹中が転倒して2番手に後退。これで富田が、7秒ほどリードするトップとなった。3番手争いでは、古賀が徐々にポジションを確保。馬場は古賀から少し遅れ、大きく順位を下げた道脇に代わって岡野が5番手に浮上した。岡野の背後には、田中と小川孝平(#38)が迫り、8番手の渡辺祐介までの4台が接近戦を展開。トップの富田、2番手の竹中は、それぞれ単独走行になっていった。レース後半、馬場と岡野は順位を落とし、田中と小川が僅差の4番手争いを展開。小川を振り切った田中は、終盤に3番手の古賀に迫った。しかし、約0.2秒差でパッシングには至らず。19周のレースは、富田が優勝、竹中が2位、古賀が3位となり、古賀はIA初表彰台に登壇した。4位に田中、5位に小川、6位に岡野が入賞した。
決勝ヒート2は、ヒート1勝者の富田が完璧なスタートダッシュを決め、オープニングラップをトップでクリア。田中、古賀、馬場、岡野、竹中がこれに続いた。2周目、富田と田中は、早くも後続を少し引き離し、7番手以下は遅れだして3番手争いは竹中までの4台に絞られていった。この中で、まず順位を上げたのは馬場。しかし3周目に馬場は順位を下げ、古賀、岡野、竹中、馬場の順となった。4周目、トップグループとの差を詰めようとしていた古賀が転倒し、ほぼ最後尾まで後退。これで5番手となった馬場は少し遅れ、3番手争いは岡野と竹中の接近戦になった。トップの富田と2番手の田中は、多少の増減はありながらも3秒前後の差を保ちながら、周回を重ねていった。
レースが中盤に入っても、富田と田中のトップグループは変わらず。一方、3番手浮上を狙っていた竹中は、逆に岡野から遅れていき、岡野が単独走行の3番手となっていった。レースが終盤に入ろうかという13周目、トップを守っていた富田が少しタイムを落とし、これで田中がすぐ背後へ接近。しかし翌周、すぐに富田がペースを取り戻すと、その後は田中のほうが大きくラップタイムを落とし、ふたりの間隔は開いていった。そして最終的には、19周のレースを富田が独走でゴール。今季4度目の両ヒート制覇を達成した。田中は2位、岡野は3位でフィニッシュ。竹中も単独走行での4位となり、最終ラップで逆転した渡辺が5位、馬場が6位に入賞した。
再び両ヒート制覇を達成した富田は、「ヒート1は、竹中選手を攻略できずにいたので、またしても相手の転倒によるラッキーな勝利でした。ヒート2は、終盤まで田中選手からプレッシャーを受けていましたが、意外と冷静に走れました」と、レースを振り返った。また、ヒート2で2位になった田中は、「この数戦は不甲斐ないレースをしてしまいましたが、今大会に照準を合わせて調整してきました。足のケガが不安材料でしたが、今季圧倒的な速さをみせる富田選手を、終盤まで脅かす存在になれたので、満点に近いレースだったと思います」と笑顔をみせた。
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ヒート1の後半に逆転して
今季3勝目を挙げた鈴村英喜
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ヒート2で、鈴村を最後まで抑え
全日本初優勝を決めた大倉由揮
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決勝ヒート1で好スタートを決めたのは、今季7勝を挙げている長門健一(#5)。これを鈴村英喜(#47)や松本直人(#41)、土屋元希(#25)らが追った。1コーナーではマルチクラッシュがあり、予選4番手だった笠原氷河(#6)が完全に出遅れた。さらに3コーナーでも、4台ほどのマシンが絡むクラッシュがあった。1周目を長門、鈴村、松本、土屋、藤井一騎(#14)、大倉由揮(#1)の順でクリアしたトップ集団から、2周目には長門と鈴村が抜け出し、3番手には大倉がジャンプアップ。土屋が4番手となり、翌周からはこの土屋を先頭とした4台の集団が形成された。
レースが中盤に入ると、2番手の鈴村はトップを走る長門との距離を徐々に詰め、トップ争いが接近戦に。一方、3番手の大倉はややペースが上がらず、このふたりから10秒以上遅れて単独3番手走行となっていった。また、土屋も5周目に混戦から抜け出した大木汰一(#83)を引き離し、単独走行となった。レースが間もなく終盤に入る9周目、それまで長門をマークし続けていた鈴村が、パッシングに成功してトップ浮上。翌周には、長門との差を少し広げた。すると長門のペースが落ち、鈴村はリードを拡大。逃げ切って今季3勝目を挙げ、獲得ポイント数でトップの長門に並んだ。大倉は、最後まで単独走行を続けて3位。終盤に接近戦となった4位争いでは、土屋が順位を守り、大木が僅差の5位、1周目に転倒して24番手から追い上げた森優介(#21)が6位に入賞した。
この日の最終レースとなった決勝ヒート2は、再び長門と鈴村の好スタートで幕を開けた。スタート直後、このふたりに割って入ったのが笠原。オープニングラップを長門、鈴村、笠原、道脇白龍(#4)、浅井亮太(#57)、大倉の順でクリアした。2周目、大倉が4番手にポジションアップすると、翌周には鈴村から大倉までの4台が、後続を引き離しながら先頭集団を形成していった。道脇は徐々に後退し、浅井が5番手に浮上して、4台の集団をけん引していった。鈴村、長門、笠原、大倉は縦に長い集団となり、この中で長門と笠原がとくに接近したバトルを展開。すると5周目、長門が転倒して8番手まで後退した。
3台となった先頭集団はより僅差のバトルとなり、6周目には大倉が2番手に順位アップ。勢いに乗る大倉は、レースが後半に入った7周目には、鈴村をパスしてトップに浮上した。この段階で、4番手の浅井は集団より14秒ほど離れていて、その4秒ほど後方では土屋が順位を守っていた。レース終盤、トップグループから笠原が徐々に遅れ、優勝争いは大倉と鈴村の一騎打ちに。僅差のバトルは、最終ラップまで継続された。そして、最後まで順位を守った大倉が、12周目エンドの時点でチェッカーを受けて全日本初優勝。鈴村が、わずか0.372秒差で2位となった。笠原は3位でゴール。浅井は粘る土屋を抑えて4位、土屋は5位となり、6位には長門が入賞した。
ヒート1で勝利するもヒート2では悔しい2位となった鈴村は、「今日は家族と喜びながら帰ろうと思っていたけど、悔しさだけが残る大会となってしまいました」とコメント。一方、初優勝を獲得した大倉は、「やっと優勝できました。ヒート1はまるでダメでしたが、最後はうまくまとめられました」と、初々しい笑顔を披露した。 |
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白熱した接近戦を制して
今季&移籍後初優勝の邵洋子
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ホールショットを奪ったのは、ランキングトップで今大会を迎えたディフェンディングチャンピオンの竹内優菜(#1)。一昨年度女王の邵洋子(#5)、佐藤鈴夏(#16)、伊集院忍(#10)がこれに続くと、邵が竹内をパス。ランキング2番手で臨んだ安原さや(#2)も順位を上げ、邵、竹内、安原、伊集院の順で1周目をクリアした。5番手以下は、佐藤を先頭に6台の大混戦となった。2周目、邵と竹内と安原は、接近戦を開始しながら4番手以下との差を拡大。伊集院を挟み、5番手争いは佐藤、久保まな(#6)、山本泉(#18)、本田七海(#9)の4台に絞られた。3周目、トップ集団は接近戦を継続。佐藤をパスした久保は4番手の伊集院に迫り、5番手には本田が浮上した。
4周目も、トップの3台は白熱のバトルを継続。久保は伊集院をパスして4番手に順位を上げたが、前方との差は約13秒に拡大していた。レースが後半に入った5周目、ジャンプ着地で2番手の竹内がクラッシュ。竹内は負傷し、リタイアとなった。これで、トップ争いは邵と安原の対決。翌周に安原が差を詰め、両者の間隔は1秒を切った。また、前の周に伊集院をパスした本田が、伊集院を引き連れたまま久保に迫り、3番手争いは3台のバトルに発展した。邵と安原は、7周目に邵が少しリードを広げ、8周目にそれを安原が縮めながらバトルを継続。しかし最後まで邵がトップを守り、今年から乗るホンダのマシンで初めての勝利を挙げた。安原は僅差の2位でゴール。3位争いは久保が逃げ切り、4位に本田、5位に伊集院、6位に佐藤が入賞した。
「成績がでなくて辛かったときにも、変わらず支え続けてくれた方々のおかげです」と、久々に乗る表彰台の頂点で感謝の言葉を述べた邵。一方、悔しい2位ながらランキングトップに浮上した安原は、「あとちょっとだったんですけどねえ。本当に悔しい」と、それでも笑顔を見せていた。 |
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最終ラップでの逆転により
Aクラスで優勝した松永健太郎
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キッズライダーが参加するチャイルドクロスは、難所を大幅にショートカットした1周1分弱のコースを、5分+1周する方式で競われた。国内メーカー製となる4ストローク50ccマシンが走るAクラスに23名、海外ブランドが力を入れる2ストロークマシンで参加できるBクラスに4名の、計27名が参戦した。
レースは、Bクラスの高橋生真(#88)がホールショットを奪い、これに同じくBクラスの坂田大和(#2)、Aクラスの山崎巧也(#30)、Bクラスの高師来駆(#3)らが続いた。2周目、トップの高橋は5秒ほどのリードを奪い、坂田も後続を約5秒離して2番手をキープ。山崎も単独走行の3番手となり、4番手以下は高師を先頭に、Aクラスの松永健太郎(#11)と大西涼太(#12)、Bクラスの生嶋竜樹(#19)が接近戦を繰り広げた。レース終盤、2番手の坂田が追い上げて、高橋に接近。しかし最後まで高橋が順位を守り、総合優勝を獲得した。坂田は、総合2位でBクラス2位。後半に4番手争いを制した松永は、最後まで追い上げを続け、最終ラップに山崎を抜いて総合3位でAクラス優勝となった。山崎は、Aクラス2位で総合4位。総合5位にはBクラス3位となる生嶋、総合6位にはAクラス3位となる大西が入賞した。
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