シリーズ4戦目をツインリンクもてぎで迎えた全日本ロードレース選手権。最高峰のJSB1000クラスは、鈴鹿2&4レース(200km)、SUGO200Mileレースというセミ耐久での2戦を終え、今回から純粋なスプリントレースで行われる。とは言っても1周約4.8kmのツインリンクもてぎのロードコースを23周で争われることになっている。この周回数は、MotoGP™日本グランプリでのMotoGP™クラスの周回数24周より1周短いだけだ。マシンセットやタイヤチョイスをいかに決勝までに合わせ、レースでのペース配分、タイヤマネジメントが勝敗を分けることになる。 今シーズン、全日本ロードレースでは、その大きな要素となるタイヤが、これまでの主流であった16.5インチが使えなくなり、17インチとなった。もちろん各メーカーは早くから開発に力を入れて来ており、その勢力図が、どう変化するかが焦点の一つになっていた。 ここ2戦を見れば相変わらずブリヂストンの優位は揺るぎないと言えるだろう。しかし、5年連続7度のタイトルを獲得している中須賀克行が2戦連続リタイアに終わっている一つの要因になっているのは、新しい17インチタイヤにマシンを合わせ切れていないことがある。今回の中須賀は、前半2戦の流れを断ち切り、一度リセットして臨んでいる。ヤマハYZF-R1もモデルチェンジしてから3年目を迎えるが、ここ2年で培った16.5インチでのイメージが大きく、そのフィーリングを追い求めていた部分は大きかったと言えるだろう。 一方、開幕2連勝を飾っている高橋巧は、今シーズンよりニューCBR1000RR SP2を投入。開発段階より17インチタイヤを使っており、その辺の戸惑いはなかったが、決して順調に進んできたわけではなかった。ニューマシンが出来上がったのは、開幕直前。テスト不足が否めない中、Hondaが一極集中で仕上げて来ている。 レースウイークに入って梅雨入りが発表されたが、金曜日から快晴となった。しかし、公式予選が行われた土曜日は、JSB1000クラスのセッション後に雷雨となり、ST600クラス、そしてMFJ CUP JP250クラスのレースは、難しいコンディションの中で行われた。 JSB1000クラスの公式予選は、ノックアウト方式で行われ、Q1で全車が走行。このセッション序盤に何と中須賀が5コーナーで転倒。秋吉耕佑もV字コーナーで転倒するアクシデントが発生する。中須賀は、ピットに戻りスペアマシンで再スタートを切るが、秋吉は、左手を負傷してしまい残念ながらリタイア届けを出している。Q1でトップタイムをマークしたのは、中須賀。ただ一人、1分48秒台をマークし、トップにつける。野左根、高橋巧が続き、トップ3がQ3に進出を決めた。Q2では、ピレリタイヤを履くモリワキの清成龍一、高橋裕紀が健闘。濱原颯道、山口辰也、藤田拓哉、渡辺一馬がノックアウトされ、清成と高橋裕紀がQ3 に進出する。 Q3には、高橋巧が真っ先にコースイン。これを中須賀がピタリとマークし、前に出るとヘアピンで進入ハイサイドとなり、あわや計測前に転倒という場面があったが、何とか持ちこたえ、そのまま計測ラップに入って行く。中須賀は、圧巻の走りで1分48秒台中盤で走り続ける。高橋裕紀、津田、清成とノックアウトされ、残り3台となったところで、高橋巧の背後につけていた野左根が5コーナーで前に出て行く。この駆け引きに野左根が勝ち、最後は、YAMAHA FACTORY RACING TEAM同士の対決となる。野左根は、セクター1、セクター2で中須賀を上回るが、S字コーナーでミスをしてしまいタイムロス。中須賀が今シーズン2回目のポールポジションを獲得した。 レースは、フロントロウの3人を中心に展開されそうだ。津田、清成、高橋裕紀、渡辺、藤田、山口、濱原などが、トップ3に、どこまでついて行けるかがレース展開のカギを握るかもしれない。 絶対王者・中須賀の復活なるか!? 高橋巧が連勝記録を伸ばすか!? それとも野左根が初優勝を達成するか!? 23周後のチェッカーフラッグを真っ先に受けるのは?