終わってみれば、開幕戦の覇者、小森文彦(ホンダ)が、一度もトップを他に譲らないまま、シーズン2勝目を挙げた。しかし、状況次第では誰が勝ってもおかしくない勢力分布は変わっていない。 2位に入った白神孝之(シェルコ)は、2ラップ目に1ラップ目の倍以上の減点をとってしまったが、それでも2位をキープした。前回九州大会の覇者、三谷英明は、今回は6位とやや低迷。3戦連続で表彰台に登っているのは、唯一今回2位の白神だけである。 逆に1ラップ目に11位だった竹屋健二(ホンダ)は、2ラップ目以降にしぶとい走りを見せて、3位表彰台を獲得した。前回九州大会で、優勝もう一歩まで迫った竹屋のこと。そろそろ初優勝の報も聞きたいところ。スーパークラス経験のない純国際A級の中では、竹屋は一歩抜きんでた存在にいる。 地元新潟に錦を飾りたかったのは宮崎航(ベータ)。今シーズン最上位の4位を得たが、自己最高位の3位には届かず。頭を押さえられたこのクラスで上位に進むのはなかなかたいへんだが、宮崎や西元良太(スコルパ・今回は10位)などが調子を上げているので、今後が楽しみだ。 宮崎や西元よりさらに若い世代も伸びてきている。柴田暁(ホンダ)はこれで3戦連続ポイント獲得と、すでにポイントは目標ではなくなってきている。柴田の他、今回は2003年にA級昇格した斉藤晶夫(ホンダ)がヤングライダーとしてはポイント獲得ライダーの仲間入りをした。 【優勝した小森のコメント】 「1ラップ目から、ミスが少なかったというのも勝因だったと思います。それに加えて、今回はあえて早まわりをして、ライバルの動向を気にせず進みました。ほとんどライバルには会わずに走っていたし、会っても、相手の点数とかを気にしないように、見ないようにしていました。それで、走りに集中できたのかなとも思います。後半、条件が悪くなって減点も少し増えましたけど、崩れずに最後まで走れていい内容でした。今回からHRCの260ccキットをつけて、グリップやスムーズ感など、エンジンも別物に生まれ変わりました」
愛知の平田雅裕(スコルパ)が前戦に続いて2連勝。1ラップは17点と出遅れ1位と9点差。追い上げができる点差ではあったが、追い上げられるかどうかは本人次第。平田は2ラップ目にベストラップの5点をマークして一気にトップに浮上、3ラップ目は減点を増やしたが、同じようにライバルも減点を増やしていたため、トップ安泰で勝利となった。 2位は志津野佑介(ホンダ)。こちらは岐阜県。中部勢の活躍が目立っている。3位の大澤一(ホンダ)は、関東勢。今シーズンは久々に全日本に復帰してきている。4位は兼松誠司(ホンダ)。兼松も愛知出身の中部勢だ。5位に入ったのが、今回初ポイント獲得の平田貴裕(スコルパ)。優勝の雅裕が兄でこちらが弟。すでに中部選手権では兄に勝ることも多いという貴裕は、前回17位に続いて参戦2戦目にして5位に入った。チャンピオン候補の兄の強敵になる日も遠くない。 【優勝した平田のコメント】 「1ラップ目が悪くて、今日はポイントもないかなと思ってましたけど、2ラップ目に突然テンションが上がっちゃって、トップになっちゃいました。3ラップ目にまた崩れちゃいましたけど、みんなも崩れたんで、助かりました。実は前の晩に、2連勝する夢を見たんで、正夢になってよかったです」