2戦連続2位の小川友幸 調子自体は悪くない
本調子には遠く3位 ポイントリーダー野崎史高
2020全日本トライアル選手権シリーズ第3戦東北大会 2020年全日本選手権第3戦。しかし今回は、第2戦中部大会が中止になったため、実質第2戦となる。そして最終戦前にした重要な終盤戦でもある。 スポーツランドSUGO、中杉トライアル場をメインとした会場は変わらないが、岩の配置などが手おなしされて、新鮮な印象での開催となったSUGO大会となった。参加は全日本選手権4クラスとオープントロフィー125クラスを合わせて91名。昨年の最終戦となったSUGO大会は124名の参加だったから、コロナ禍の影響もあって、ちょっとさびしい参加者数となった。 最終戦は近畿大会だが、近畿大会は無観客で開催されるため、お客さんが直接楽しめる大会としては、これが今年最後の大会となった。 ■国際A級スーパークラス ◎競技前日のパドック(MFJ公式ライブ動画) ◎1ラップ・第1-2セクション(MFJ公式ライブ動画) ◎2ラップ・第3-4セクション(MFJ公式ライブ動画) ◎決勝・SS1-SS2(MFJ公式ライブ動画) 金曜日が雨だったり、土曜日の夜に雨が降ったりと、心配もあったが、当日は朝からよく晴れた。太陽が顔を出すと少し暑いほどの陽気だが、曇ればすぐ涼しくなる。東北のこの時期らしい気候というのだろうか。今回は第1セクションが、いつもウォーミングアップエリアとなっている周辺に設置され、最終セクションが例年の第1セクションと、会場レイアウトにも手が加えられていた。中杉トンネルを抜けた奥の森のセクションは、国際A級以上ではここ数年使われていなかったが、今回久々に復活。水のある、自然の地形がメインとなったセクションがトップクラスにも復活した。 序盤、好調だったのは黒山健一(ヤマハ)、小川友幸(ホンダ)、そして柴田暁(ヴェルティゴ)。最初のアクシデントは、黒山を襲った。岩盤含みの斜面を登り降りする第4セクションでクラッシュ。以後、痛みと戦いながらのトライとなった。 今回、久々に登場となった森の中の第5セクションは、滑る泥と高い岩との戦いとなった。ここを攻略したのは4人、黒山、小川、柴田、そしてランキングトップの野崎史高(ヤマハ)だった。ただし野崎は、ここに至るまでに5点がふたつあって、どうにも調子に乗れずにいる。SUGOでは勝ち星の多い野崎のこと、ここで勝利すれば初のタイトルもがぜん具体化するのだが、なかなか苦戦している。 第5セクションのあと、第7セクションを経て再び中杉トライアルエリアに戻って終盤戦。小川、柴田はここで減点して、レースリーダーは黒山ということになった。1ラップ目の黒山は4分のタイムオーバーを含んで減点11点。小川が12点、野崎が17点と続く。柴田はタイムオーバー7点が響き、野崎から5点差、22点で4位。氏川政哉(ガスガス)が24点、小川毅士(ベータ)が26点と続く。 2ラップ目、手負いの黒山が、しかしベストスコアをマークする。対してここで勝利して野崎とのチャンピオン争いを有利にもっていきたい小川友幸は、ふたつの5点で追い上げならず、2ラップを終えて黒山に4点差の2位でSSに望みをつないだ。 野崎はその小川に5点差の3位。計算上は黒山、小川、野崎に勝利のチャンスが与えられて、SSで勝敗が決せられることになった。SSも、これまでとはちがって、新たに置かれた大岩を素材とした第1、いつもの場所ながらラインを新たにした第2が用意されていた。 トップ争いは3人、そして4位争いは7点の間に柴田、氏川、小川毅士の3人がひしめく。 SS第1は、小川毅士が2点で抜け、トップグループのクリーンが見られるかと思いきや、複雑な形状の大岩で次々に5点。順位は変わらないものの、小川毅士がSS第2での逆転に望みをつなぐことになった。 SS第2は、中盤の大岩も難関だったが、やはり岩盤登りがハイライト。ここも最初にクリアしたのは小川毅士だった。しかし今度は、毅士以降を走るライダーは確実にここを走破していく。氏川がクリーンしたあとは柴田のトライ。柴田もていねいなライディングで難所をクリアし、最後の登りだけ。ここまで来ればクリーンは確実と思われたその時、柴田が斜面のテープを切ってしまった。わずかにラインが乱れたものだったが、残り2メートルというところで、柴田は5点。なんと柴田は4位から6位に転落、氏川と小川毅士がひとつずつポジションアップすることになった。 最後にトライしたトップグループの3人は、野崎が1点をついたもののみな確実にトライ。最後の最後の逆転劇とはならず、黒山が勝利、小川友幸が2位、野崎が3位となった。 黒山は開幕戦で6位になっているので、自力でのタイトル獲得は困難。しかし黒山の活躍で、野崎と小川友幸のタイトル争いにも影響を及ぼすという展開になっている。小川が2位、野崎が3位となったが、ランキングポイントはいまだ野崎がトップ。しかしランキング2位の小川とはたったの1点差だ。次戦、最終戦近畿大会で上位につけたほうが、チャンピオン獲得ということになりそうだ。 優勝した黒山は、表彰台にあがるのもやっとという感じ。満身創痍でつかんだ勝利だった。 【黒山健一のコメント】 練習してきた結果が出せた、オートバイがきちんと動けばこの結果が出ることを確認できて、よかったです。開幕戦でも、これくらいの結果が出る準備はしてきたつもりです。第4セクションの失敗は、完全にぼくの不注意でした。今も痛いんですが、痛いながらも走り続けることができたのでよかったと思います。今日のぼくの勝因は、いつもうまくいかない第5と第7をうまくいけたことだったと思います。次も勝たせてもらって、チャンピオン争いに茶々を入れたいと思います。 【小川友幸のコメント】 もちろん勝つつもりでした。単純に5点が多かったから、ですか。最終とか第8とか、ミスをしても1点を終えられればちがっていたと思いますけど、それが5点になってしまうというのが痛かったです。最終戦は久しぶりに追う立場ですけど、今回勝っていても最終戦で勝った者勝ちになるんで、最終戦こそ、勝利したいと思います。 【野崎史高のコメント】 波に乗れませんでした。今日ははっきりいって調子が悪かった。からだも動いてなかったし、だめだったですね。今日は1ラップ目に3回くらい大クラッシュしました。久しぶりにこんなに転びました。それでも3位にはいれたし、まだランキングもトップだというんで、湯浅をがんばります。それしかないです。
昨年の国際B級ランキング2位、ルーキーゼッケンの02番をつける廣畑伸哉(ガスガス)が、2位に9点差をつけてほぼ圧勝。3戦のみの戦いとなる2020年シーズンで2勝目を挙げて、ルーキーイヤーでのタイトル獲得に王手をかけた。 1ラップ目、第2、第3と連続5点をとった廣畑だったが、そこからは5点なし。1ラップ目の減点は、2個の5点を含めて16点だった。2位につけたベテラン小野貴史(ホンダ)は26点だから、10点のアドバンテージを築いたことになる。 2ラップ目、ちょっとミスが出て3個の5点を献上した廣畑だったが、このラップのトップスコアをマークした小野とはわずか1点差、結局、1ラップ目のリードを充分に守っての勝利となった。 3位はこれも開幕戦に続いて村田慎示(ホンダ)と、若い廣畑はベテラン二人に囲まれての表彰台となった。 4位は小野のチームメイトとなった塩月匠(ホンダ)、5位に木下裕喜(ベータ)と関東を拠点とするライダーが続き、6位には池田力(シェルコ)が入った。池田は廣畑を破って、2020年国際B級チャンピオンとなっているが、舞台を国際A級に移して、廣畑を追う立場となった。今回が、国際A級初ポイント獲得となる。 【廣畑伸哉のコメント】 第3がいけなくて、小野さんがいけてたんで、うわー、やばいなぁ、と思っていました。ただ第7から人工物のセクションはうまくいけたんで、それがよかったのかな。2ラップ目はちょっと調子が悪かったんで、これはだめかなぁと思ったんですけど、終わってから1ラップ目に10点差があったというんで、少し安心しました。次の湯浅は自分の庭みたいなものなので、がんばります。
左から2位小玉絵里加、西村 3位は山中玲美が入った
開幕戦と同じく7名の参加。優勝は西村亜弥(ベータ)、2位は小玉絵里加(ホンダ)とトップ争いの結果も開幕戦と同様。しかし今回は小玉が西村に肉薄した。 第1セクション、西村にとってはなにごともないはずのU字溝を失敗。5点で試合を始めた西村は、その後も第7セクションでクリーンを狙って5点となるなどし、1ラップ目は12点。対して小玉は13点と、土つかずの西村に対して、勝利の目が見える活躍ぶりだ。 2ラップ目、西村のスコアは少し上向いたが、いつもの本調子とは思えない。しかし今度は、小玉にミスが出てきた。結果、西村18点、小玉27点でいつものとおりの決着となったが、あるいは、と決着が見逃せない戦いとなった。 3位以下は開幕戦とは並び順ががらりと変わった。3位はゼッケン3番をつけ、前回4位だった山中玲美(ホンダ)、4位に前回5位の斎藤由美(ベータ)、5位に前回6位の小谷芙佐子(ヤマハ)、そして前回3位の清水忍(TRRS)が6位となっている。ランキングも、山中28点、清水25点、斎藤24点、小谷21点と、最終戦の結果次第でもう一波乱がありそうだ。 【西村亜弥のコメント】 第1セクションの5点は、自分でもびっくりしました。今日は全体に、自分じゃないみたいな感じでうまくいかなかったです。2ラップ目の終盤になってようやく調子が出てきて、集中して走ることができるようになりました。これじゃだめなので、出直してきます。
二連勝の中山(中央) 2位福留(左)3位喜屋武(右)
国際A級、レディースと同様に、開幕戦に続いての連勝は中山光太(ベータ)。レディースの西村のチームメイトでもある。1ラップ目、スタート早々の第2セクションで1点減点をするも、以後はしっかりクリーンを重ね、1ラップ目1点、2ラップ目はオールクリーンで試合をまとめた。 2位にはいったのは福留大登(ガスガス)。開幕戦5位から初表彰台を獲得した。福留も、2ラップ目はオールクリーンを達成した。 ヤングパワーの台頭が光るこのクラスだが、3位は喜屋武蔵人(TRRS)が10代ライダーに割って入った。 ランキングトップの中山は2位高橋寛冴(シェルコ)に10点差をつけているが、ランキング2位争いの3人は接戦。高橋30点、福留28点、そして今回5位となった黒山陣(シェルコ)が26点で続いている。 【中山光太のコメント】 セクションはむずかしかったですけど、人工セクションは好きなので、いけました。1ラップ目がよかったので、2ラップ目に失敗しなければいけるかなと思っていましたけど、オールクリーンでうまくいきました。湯浅は走ったことも見たこともないですが、がんばりたいです。