モトクロスとは?
モトクロスとは、モーターサイクルによるクロスカントリー、つまり未舗装の周回コースにてスピードを競う二輪レースです。モトクロスのコースは通常、丘陵などの不整地に設けられているので、起伏に富んだ自然の地形を生かした勾配や、ジャンプ台などの人工的セクションが勝負どころ、見どころとなります。
HSR九州オフロードコース |
SUGOインターナショナルモトクロスコース |
競技方法は、横一線のグリッドからスタートし、制限時間内に最も多く周回を重ね、最初にチェッカーを受けた者が勝者という、スピードとテクニックを競うモータースポーツです。競技時間はライセンス区分によって異なり、全日本選手権モトクロスにおけるトップレベル、国際A級の場合30分+1周で行われます。
全日本選手権・国際A級クラスでは30分+1周の決勝レースが1大会に2回行われるのが通例です。それぞれヒート1・ヒート2と呼ばれ、両ヒートの獲得ポイントの合計で、総合順位が決まります。また、各大会のポイント合計によって、年間シリーズチャンピオンを争います。
モトクロスの発祥地はヨーロッパ。今から50年以上前に始まった、野山を駆け巡るモーターサイクルのレースは、やがて世界各地へと普及し、アメリカ、南米、オセアニア、そして我が国でも盛んになりました。
レース車両
レースに用いられる車両はモトクロッサーと呼ばれる種類で、ナンバーを取得して公道を走ることができない競技専用車両です。不整地でスピードを競うため、サスペンションのストロークを長く取り、灯火類などを省いて徹底的に軽量化が追求されています。大きなトルク(一瞬で出力できる力)が求められるため、エンジンはすべて単気筒になっています。
世界選手権
モトクロス世界選手権(MXGP)は1957年に発足して以来、現在まで絶え間なく続いています。世界各国のトラックを転戦しながら、2019年現在、年間19戦が開催されています。かつては日本でも宮城県スポーツランドSUGOで開催されました。
モトクロスで世界を制した日本人はただ一人。1978年の世界選手権GP125クラスで、渡辺明選手がシリーズチャンピオンに輝きました。
近年、世界選手権やアメリカのAMAナショナル・スーパークロスなどでも活躍する、ハイレベルな日本人ライダーが増えてきています。毎年開催される「モトクロスオブネイションズ」にも日本代表チームが派遣され、世界の強豪と戦っています。
全日本選手権
1950年代に黎明期を迎えた日本では当初、より緩やかな地形を走るスクランブルレースとして行われていましたが、1961年にMFJが設立されると、1964年には第1回モトクロス日本グランプリが開催され、1967年よりシリーズ戦として全日本選手権が組まれるようになりました。
現在はMXGPを踏襲し、国際A級ではIA1(2st250cc, 4st450cc), IA2(2st125cc, 4st250cc)の2クラスが、国際B級では混走のIBOPENクラスが、そして女性が2st85ccまたは4st150ccのマシンで争うレディースクラスと、3部門・4クラスが設定されています。
2019年現在は全国6ヵ所のモトクロスコースで、年間8戦の熱い戦いが繰り広げられています。
地方選手権や承認レース
全日本選手権に出場できるのは、限られたライセンス保有者のみ。そのライセンスを手にするためには、まずは各地方ごとに行われている地方選手権または県大会を戦い、ポイントランキングで上位に入り、ライセンス昇格する必要があります。
運転免許証を所持している方ならWeb申請にて国内B級ライセンスを取得できます。
→ライセンスの種類と取得条件
ただし、乗った経験がない人は、まずコース内でのルールやマナーを学ぶことをおすすめします。全国で行われているMXスクールや試乗会などに参加して、経験を養ってからレースに参加しましょう。
現在、地方選手権は北海道、東北、関東、中部、近畿、中国、四国、九州の8地区で行われており、若手からベテランまでが激しい争いを繰り広げています。そこで取得したポイントは昇格ポイントランキングに反映されます。
また、各地方選手権シリーズに参戦するライダーたちの全国交流大会として「MFJモトクロス全国大会」が開催されています。エントリー時点で各地方選手権の上位にランクインしているライダーのみが出場を許されており、国内ライセンスでありながら高い実力を持つライダーたちが地区を超えて交流するため、よい刺激を得られる場として大変な好評を得ています。
この大会で優勝したライダーにはライセンス2階級特進の権利が与えられます。NBクラスからはIBクラスへ、NAクラスからはIAクラスへと、一気に全日本選手権への出場権利が手に入ってしまうのです。そのため、非常にハイレベルな争いが毎年繰り広げられています。
広がるモトクロスの輪
選手が用いる450cc、250ccといったモトクロッサーは、大人が跨がっても足が地面に届かないほど射角が大きいのですが、入門用やレクリエーション用に、85cc、65cc、50ccといった小柄な小排気量車も市販されています。
これらのミニモトクロッサーによるレースには、年齢や技能に応じたクラスが設定されており、各地で行われているキッズの大会では、両親と一緒にレースを楽しむ小中学生のモトクロスライダーが多く見受けられます。
また近年は、女性ライダーの参入も盛んになってきており、モトクロスが老若男女を問わないスポーツとして定着しつつあります。各地のローカルレースのみならず、全日本選手権にもレディースクラスが併催されるようになり、競技の裾野は徐々に広がっているようです。
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